非公開株式会社の取締役会議の議決事項について

2014年5月31日 元田時男

Q: タイの非公開株式会社法を見ると、取締役会の任期については述べられているものの、取締役会で決議される事項については特に定めがないようですが、

どのような事項が取締役の決議事項になるのでしょうか。

A: 先ず、タイの非公開株式会社は、株式会社という名称を使っていますが、法律の内容は日本の有限会社法と色々な意味でよく類似した組織であることにご注意

下さい。

タイは英国から導入、日本はドイツの有限会社法を取り入れて昭和15年に公布されており、起源は異なりますが、小さな会社であることを前提にしており、株式の

公募はいずれも許されておらず、縁故募集のみであること、取締役会が、日本の株式会社のように会社の機関としての位置付けで存在しないこと、

取締役はそれぞれが独立して会社の運営に当るが、会社に対しては連帯責任があること、取締役各自が独立して会社を代表することができること

(ただし、有限会社では社員総会の決議で会社を代表する取締役を選出することはできる。タイの場合も株主総会で、会社を拘束する署名権者を選出する)など、

タイの非公開株式会社は極めて日本の有限会社に類似しています。

この認識の上に立って、タイの非公開会社法を見ますと、法定決議事項というものがありません。

したがいまして、連帯して株主総会の決議、定款に従い忠実に、善良な管理者として会社の執行に当る責任があるという意味で、取締役は、できるだけ合議制で

運営したほうがよいということになります。法でも取締役の会議の運営、決議法は定めていますので、会議は法に従うことになります。

以上のように、非常に緩やかな組織でありますので,株主数が多くなり、営業の規模も大きくなると、定款で株主の責任と権限をきちんと決めた方が、コーポレート

カバナンスの意味からも望ましいと思います。

特に合弁の場合は、取締役会議での決議事項を契約で合意すると同時に、定款に日本の株式会社法と同様の厳しい形で決めておかないと、会社の運営に支障を

きたすということになります。



日本の旧商法第260条2項には取締役の決議事項として以下のことが挙げてありました。

1.重要な財産の処分、譲り受け

2.多額の借財

3.支配人その他重要な使用人の選任、解任

4.支店その他重要な組織の設置、変更、廃止

更に、3項において、取締役は3ヶ月に1回以上、業務の執行情況を取締役会に報告することと規定されていました。

このことを敷衍して、タイの非公開会社の定款に同様の条項を入れておけば、コーポレートバナンスはぐっと良くなるのではないでしょうか。

更に具体的に申上げすと。例えば「百万バーツ以上の取引は取締役会会議において決議を要する」とすることもできます。

色々なバリエーションが考えられます。それは、会社の事情によって異なります。特に合弁の場合は、厳しくしたほうがいいことはいうまでもありません。

それから注意しなければならないことは、合弁契約で約束したことはできるだけ定款にも盛り込んでおくことです。

合弁契約の違反は当事者だけの問題ですが、定款に違反すれば会社法に違反することになり、つまり法律違反になることです。

善意の第三者にも、合弁契約の内容を知らしめておくことも定款(合弁契約とことなり、登記され、第三者は閲覧することができる)の役目であります。

(おわり)

(出典:http://motoda.biz/directorsmeeting.htm)