現地法人の業務引継ぎ、監査の重要ポイント


         2009年3月  元田時男(2014年5月17日更新)


(1)総務的事項


@BOIへの奨励申請書、奨励証書(事業ごとに発行されているので全部を揃える)。


A会社登記簿:登記証明書、アフダビット、株主名簿、基本定款、付属定款


B会社運営上の書類:株主総会召集状、株主総会議事録、役員会議事録、株主名簿(登記簿の名簿と別に会社としての名簿を保管する義務あり)、

株券


C事務所、工場建物の建築許可書(タイには建物保存登記制度がないので、これが持ち主である唯一の証拠となる、図面、見積書も点検)


D賃貸工場の場合、賃貸契約書(3年を超える不動産賃貸契約書は登記が必要であることに注意)


E土地登記簿原本:2通発行され、一部は所有主、一部は県土地局で保管(双方は理論的には一致するはずであるが食い違うこともある)


F工場設立許可、操業許可(変更、拡張の都度、申請、許可を貰っているので、図面も含め全部揃っているか。期限が切れていないか、工場法により立

ち入り検査もあることを想定する)


G会社印と管理方法


H火災保険、従業員保険、車両保険などの証書


I業務用資料の整備状況(法令、規則、会議所月報など、タイ語、日本語の参考資料は揃っているか、また、誰にも公開され、有効に利用されているか

―社内ミニライブラリ)


J公用車管理台帳(私用で使用する場合の処理)

(2)労務人事


@業務責任フローチャート(命令系統が明確であるか)


A就業規則:過去のものも含めて、現在までに告示したもの、出張規定など個別のものを含む、適正に公示されているか。

適正に労働官の検閲を受け、提出、受理の書面も揃っているか。


B労使協定書(過去のものも含めて、署名入りの原本が揃っているか)


C従業員台帳(就職から15日以内に登録されているか、記入項目にもれはないか、離職から2年間の保管義務あり)


D雇用契約書(重要な雇用条件が盛り込まれているか、上級者については機密保持条項があるか)


E賃金台帳(従業員の署名があるか、2年間の保存義務あり)


F社会保険台帳(適正な源泉徴収を行っているか)


G労災保険加入、保険料納付関係書類


H各従業員の個人所得税源泉徴収票(適正な源泉を行っているか)


I警告書(誰が署名しているか、査問委員会の議事録)


Jその他人事関係様式(休暇願いなど)は揃っているか、規定通りの決済を受けているか。


K研修記録ならびに研修報告、配布資料(個人の所有物になっていないか)


L医療施設の整備状況、安全管理者の管理状況(研修報告書)


M健康診断とその結果の管理(労働官への提出書類、受理書、労働者保護法により義務付けられている)


N日本人ワークパーミット(現実との食い違いはないか)、申請、許可一式書類、帰任者の返上受領書


O移民局への90日ごとの出頭スケジュール


Pタイムカード


Q運転手、雑役の管理(勤務時間の管理など)


R毎年1月要提出の労働省に対する雇用状況報告書は揃っているか

(3)会計


@会計業務マニュアル(会計は大事であるから人事の異動があっても大丈夫か)


A月次決算書、年次決算書、年次決算書の商務省への提出文書、受理書(遅延の原因)


B手元現金出納帳の管理状況(合わない場合どう処理しているか)


C銀行預金通帳と元帳の照合(毎月残高証明との照合が行われているか)


D仕分帳、元帳、伝票、証憑(会計法による保存期間の規定あり、適正な決済が行われているか)


E監査証明書(何か意見が付されていないか、適正意見か、意見にどう対処しているか)


F棚卸資産台帳(原価配分法は統一されているか、工場の帳簿,BOI,税関のBis19によるカットストックと照合されているか、棚卸の時期、方法、

棚卸損の計上基準、乗用車売却損の処理など


G償却資産台帳:幾らの価格以上を資産としているか、取得に要した費用(運賃、据え付け費、試運転費など)を含めているか、償却方法、

残存価格の計算


HBOIに対する決算書の提出書類、受理書(BOIから指導はなかったか)


I会計担当の能力試験、商務省の研修(義務)を受けているか


J原価計算データは揃っているか、税務(移転価格)、アセアンCEPT、日タイ経済連携の特恵関税の原産地証明の元となる


K小切手帖は持参人払いとなっていないか

(4)税務


@法人所得税の納付書、納税受領書(中間、年次を含む)


ABOI免税対象事業と非免税事業との区分の基準


BVATインボイス、納付書、還付書、清算書(タックスクレジット)


C法人所得税登録書、VAT事業者登録書


D個人所得税納税登録書


E従業員に対する現物支給の税務処理


F個人所得税の確定申告書、納税証明書


G土地建物税、看板税の納付書、受領書


H印紙税を要する書類には印紙が貼付され日付に入った消印義務者の消印があるか


I日本人職員の日本給与は正確に合算されているか



(5)シッピング


@船積・通関書類一式:インボイス、パキングリスト、B/L, Airway Bill,TorTor1.2,輸入税納付、受領書など


ABis 19条またはBOIによるフォーミュラ


B注文書、受注書、契約書、その他往復文書


C工場における棚卸とBOI、Bis19条に又はBOIによる帳簿との照合はどう行われているか、それを会計元帳にどう反映しているか


Dハンドキャリーによるものは密輸入となるので注意


Eくず、不良品の処理(勝手に処分できない)、BOI,IEAT,国税局の管理下にある

(6)BOI関係


@奨励証書が各事業ごとに揃っているか、各々の法人税免税の期間


A輸出製品用原材料輸入税免税にかかるフォーミュラ


B材料台帳と実際有高に差はないか((3)のFと同様)


C法人税免税中のものと免税終了の事業の損益の通算は適正に行われているか


D奨励証書に記載された品目と年間生産量は守られているか

 

     (出典:タイ国ビジネス経済情報ー元田時男)

     http://motoda.biz/
-------------------------------------------------0-----------------------------------------------