タイ人はどのように法律を学ぶか

タイ人は学校でどのように法律を学んでいるか? このテーマを追求するため現在教科書として使われているタイ国文部省発行の法律の本を調べてみました。
「日常生活の法律」著者:ボンチャイ・スントーンパン)と題する中学生の教科書を読みながら説明します。
この本の最初の言葉「前書き」の中で、「法律とは人の行動を統制するために規定した規則である。この法律に反した人は、
制裁を受ける、損害を受ける、法律の分野での諸権利を失う」と書かれています。
この本は、通常の本と同様に
1基本的内容
2法律の総論
3 タイの主な法律
3章からなっています。なおこの本はA4版計42ページと言う薄い本です。
1基本的内容
「どんな社会でも法律がある」として法律の必要性を冒頭に述べ、
もし法律がなかったら、強い者が有利な立場に立ち、弱者は弱い立場に立たされてしまう。
それはちょうど大きさは、小さい魚を食べてしまう、のと同じであると表現しています。
さらに「誰でも社会で生きている以上、法律を否定することができず、あらゆる場合に法律法律が関係してくる」と述べています。
一方、「法律を知らないと言う理由で責任を免れることはできない」と法律の存在を強調しています。
2 法律の総論
総論は次の5項目からなっています。
A 法律の発生及び法律の意味
B 法律の由来
C 成文法
D 法律の施行
E 法律の廃止
以下に、本文の要約を見ていくことにします。
なお、カッコ内の中は著者によるコメントです。
A 法律の発生、及びその意味
a法律の発生
人が生まれて社会生活は歩むことになる.
人は1人で生きていけない.なぜなら、共に住み社会生活を営む
ことによって生きていくことができるからである。
規則は集団生活の中から発生した。人間は2人以上集まった時から諸問題が発生する。よって社会生活を歩むための規則が必要 となった。
・ラビヤック サンコム (注:道徳、風習、習慣)は規則であっても法律ではない。

社会の最小の単位である家族内において、父は子供に命令することができる。
子供は、親の言うことは聞かなければならない。
社会生活の範囲が広まってくると、さらに多くの諸問題が発生する。
家族内では、父の命令だけで済んだが、集団社会になってくると、その社会で命令する人が必要となってくる。
(注:タイ人の子供は親の命令を忠実に聞く、とよく言われているが、この項目を見ると納得がいく。
つまり、14、15歳にて父は子供に命令することができ、かつその命令は絶対である、と教えています。
この教えが基本となり、社会、国家でも同様に当てはめているのです。この項目こそ、タイの法律の原点を垣間見ることができます。
B法律の意味
(注:「法律は、命令、統制できるものまで法律に反すると罰することができる、と書かれています。
なんとストレートな教えかたなのでしょう。このことからタイ人は、権力者、法律に弱いということができるでしょう。)
以下の5項目が法律の主要な特徴である。法律は最高権力者から発せられる最高権力者はその国を統治するため法律を制定する権力がある法律は一般に命令したり調整したりすることができる法律を廃止しない限り限りなく用いることができる事項がなイ 法律は、最高権力者から発せられる。
最高権力者は、その国を統治するため、法律を制定する権力がある。
ロ 法律は一般に命令したり強制したりすることができる。
ハ 法律は廃止しない限り限りなく用いることができる(時効がない)
ニ 法律はある事柄をさせるための命令や強制である。
(注:仮に法律が正しくなくても従わなければならないとし、
ここで納税の義務を例に挙げている。
ホ 法律は制裁できる内容がある。
つまり刑法は、法を犯した者に対して死刑、投獄、罰金、財産の押収などを強制できる。

 

 

B 法律の由来
法律の由来を学ぶ目的は2つある。ひとつは、その法律の目的及び意図(不成分法)を学ぶことであり、もうひとつは裁判所での判決の根拠(成文法)を学ぶことである。(注:成文法の由来については、具体的に次の5項目を提起しています。

歴史的由来に基づく場合で、最高の地位の人は人々を統治するため法律を制定する権限があたられている。
(注:この条項からタイの憲法が欧米法を取り入れた憲法であっても、大陸法(ドイツ)の影響はみられることがわかる2 宗教的由来
3公平、公正より由来
4 賢人(法律の専門家)の考えにより由来
5 判決(判例の積み重ね)より由来
C 成文法
成文法は4種類あり、以下それぞれ説明する。
1法律(国会を追加し国王が署名した法律)
2 閣議決定に基づく法律(内閣が発布が90日以内に国会の承認が必要)
(注:現在の国王は、勅令を発する権限が明記されていない)
3 政令(法律に基づきその内容の範囲内で制定する法令)
3 省令(各省庁が法律および政令に基づきその内容の範囲内で制定する法令)
以上の他に、県ごとの規則に(いわゆる県条例)、市ごとの規則などがある。
(注:このテキストで以上について詳しく説明しています。14、15歳の学生にとっては、無意味なないようでは?
15歳にして将来法律を志す人は別として・・・)
D 法律の施行について
法律を施行(実施)する場合、次の4項目に留意しなければならない。
1 法律を施行する人
2法律施行の実施日
3 法律施行の場所
4 法律の強制を受ける人
(注:以下これらを詳しく説明しています。最後項の説明として「王は法律の適用を受けない」と書かれています。
実際、憲法第8条に「国王は尊敬すべき地位にあり何人とも侵すことができない。国王を告発、または告訴できない」と書かれており法律の適用除外となっています)
法律の廃止
(省略)
3 タイの主なの法律
(注:ここでは、以下の5項目を説明している)
a憲法
b行政法
C裁判所法
D刑法
E民商法

Aタイ国憲法は、タイで最高の法律である。憲法はタイを統治するために政府に権限を委譲している。
かって王は自ら権力を持って絶対的に支配していた。
1931年624日より支配制度を変えたつまり。民主主義になった。憲法はは19311210日に制定、実施された。
以来何回か変更され、現在に至る。この憲法に反する法律は無効となる
(注:以下憲法の中で重要なポイントについて説明している)
例、主権、国民の自由の権利と国民の義務、政府の方針等)
B 行政法
(注:行政法と言う名称は、行政に関する法律の総称であって、一つの法律の名称ではない)

タイの行政法は、次の3つから構成される。
イ 国家公務管理法
ロ 地方(県及び郡)公務管理法
ハ 地域(町及び郡)公務管理法
(注:以上の法律に基づく規則、施行について具体的に書かれている。なおこの本によると行政法とは「国家の管理について、方針のための原則、そして具体的に管理を実施する方法、を規定している
法律」と書かれています。
イ 国家公務員管理規定法は、也3つの規則より成り、その内容は次の通りです。
これを補足する法律として以下の3つが挙げられる。
・国家公務管理規定法
・省、庁、局における関係調整法
・国家公務員規定法
中央管理規則では、次の4つに分けその役割について説明しています。
・首相府
・省
・局及びそれに準ずる部門
首相府は首相が存在し、他の省庁を指揮監督し、副首相及び各大臣は、国務執行について首相を補佐する。
首相及び内閣は国のすべての事項について管理し、予算を立てる権限がある。
(注:以下この本では、省、庁、局における組織について説明している)
ロ 地方(県及び郡)公務管理規則
この規則は,県ト群に分け、県はいくつかの群を管理するよう規定している。