みなさま、こんにちは。

2016 年最初のタイ国法律改定情報は「事故を起こした運転手の労働災害補償金の受給

権利」をお送り致します。

昨年 8 月より泰日経済技術振興協会(以 下 TPA)にて労働関連法の講師をしております。

その関係で TPA が発行するタイ語のニュー スレターを読む機会がありました。

日本語のニュースレターには掲載されていない記事で皆 様が興味がありそうな記事が

ありましたので、今回、記事として取り上げた次第です。 

労働災害補償金法 とは、従業員が勤務中に負傷や傷病を被ったり死亡した場合に、

雇用者の従 業員もしくはその被扶養者に対する金銭の支給を定めた従業員もしくは

その被扶養者を保護する 法律である。

また、補償基金の設置も規定しており、雇用者は、雇用者に代わって従業員もしくは 

その被扶養者に対する補償金の支払いを担保するため、補償基金に負担金を

支払わなければならない。

補償基金は、従業員を1名以上有する雇用者に対して適用される。補償金は、

従業員が勤務中に負傷や傷病を被ったり損失を受けた場合に、従業員もしくは法律で

定める権利人に支払われる金銭である。すなわち、 

  1. 賃金の喪失、身体の喪失、業務遂行能力の喪失、扶養力の欠如に繋がる生命の失に対 する補償金 
  2. 治療費及び負傷した身体の代替として使用したり代替機能を持っていたり、或いはそのよ うな身体を支援する装置、道具、物質に関する費用 
  3. 職場での業務遂行能力のリハビリ費用 
  4. 従業員の宗教もしくは地域の伝統に則った葬儀費用 といった費用である。

 従業員が負傷や傷病を被ったり損失を受けた場合、雇用者は補償金を支払う義務がある。

従業 員もしくは法律に基づく権利者は、補償金を受け取る権利を有する。

負傷は、雇用者のための業務 遂行や雇用者の指示に基づく業務あるいは雇用者の

利益保全に起因するものでなければならな い。

一方、傷病とは、業務の性質や業務形態により生じた病気あるいは業務遂行により

生じた病気 タイ国 法律改訂情報 Vol.61(2016 年 1 月 21 日発行事故を起こした

運転手の労働災害補償金の受給権利 を意味する。

損失とは、勤務中や指示に基づく作業中に従業員がいなくなることで、勤務中や雇用者の

指示に基づく作業中に生じた負傷を体験したことで死亡に至ったと信じるに足る事態

もしくは 陸路、空路、水路で業務遂行のために車両で移動中に生じた負傷を体験した

ことで車両が負傷を被り従業員が死亡に至ったと信じるに足る事態とする。

期間は事態発生日から120日とする。

但し、 従業員が酩酊物質やその他中毒物質を摂取し意識を保つことができない

場合や、従業員が自ら負 傷を体験したり他人を使い自分が負傷を体験することを

容認したことが原因で従業員が負傷したり 傷病を被ったりした場合、雇用者は補償金を

支払う必要はない。

 今回の論点は次の通りである。

物品の運送を行う運転手が一人おり、業務として物品を運送して いる。

 ただ、不注意から1979年道路交通法違反である法定速度を超えた運転をした。

 また雇用者 の指示に対する違反でもあるスピード違反を犯した。

車は逆さに横転し300,000バーツの損害を被 った。

従業員は、片足を失う怪我を負った。

よって、雇用者は「片足喪失による業務遂行能力の欠 如」を理由として解雇した。

従業員は、片足喪失という怪我による労働災害補償金の受給及び解雇 による解雇

補償金受給の権利があるか否かが論点である。

 最高裁判所の回答は、従業員が業務遂行のため運転中に片足喪失という怪我を

したのは、勤務 中に業務遂行により従業員が身体に負傷した場合となり、

1994年労働災害補償金法第5条で定める通り、従業員が「負傷した」とみなされる。

雇用者は、法律で定める金額に基づき労働災害補償 金を従業員に支給しなければ

ならない。

但し、従業員が酩酊物質やその他中毒物質を摂取し意識 を保つことができない場合や、

従業員が自ら負傷したり、他人を使い自分が負傷することを容認した場合は、

この限りではない。

よって、法律違反の運転をしたり、不注意だったにせよ、雇用者の指 示に対する違反で

あったにせよ、雇用者の車両を破損させたにせよ、上述の条文のいずれかに基 づく

例外事項ではない。

従業員は、補償金を受け取る権利を有する。

解雇について、雇用者は運 転に関する違反には言及しておらず、「片足喪失による

業務遂行能力の欠如」を解雇理由として言 及している。

そのような事態は、1998年労働保護法第119条で定められた雇用者が補償金を支払う

必要がない過失や必要がないケースに該当しない。

よって、この従業員は、雇用者から補償金を 受け取る権利を有する(最高裁判決

6462/2534号) 【概要】 従業員の不注意もしくは雇用者の指示に対する違反により

事故を起こし怪我をした時に 労働災害補償金を受け取る権利がないのは、従業員が

酩酊物質やその他中毒物質を摂取し意識 を保つことができない場合や、従業員が

自ら負傷を体験した場合である。

このケースは、例外事項 に該当せず、不注意の行為もしくは法定速度を超えた運転を

禁止した雇用者の指示に対する違反 に過ぎない。

事故が起きた場合、雇用者は従業員に労働災害補償金を支払わなければならない。

 また、片足喪失による運転業務遂行能力の欠如を理由とした解雇については、

例えそれが理由で 解雇されたとしても、雇用者が解雇補償金を支払う必要がない

過失やケースにも該当しないため、 従業員は、解雇補償金を受け取る権利を有する。

 

 執筆者:Pornthep Taweekarn(HR Director, Charoen Pokphand Foods PCL.) 引用元原文: http://www.tpa.or.th/tpanews/upload/mag_content/100/ContentFile2018.pdf 引用元:TPA News(2015 年 10 月・イ語版) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【タイ国法律改定情報・発行元】 TJ Prannarai Communication Co., Ltd. (前田 千文)