タイの裁判所

 

2008年9月29日月曜日
タイの裁判所    (2008年6月)
タイの裁判所

By West Advisory

タイの裁判所の制度の特徴として、司法を統括する最上位の裁判所は一つの最高裁判所ではなく、四つの裁判所が並列的に設置されている点にあります。

タイの2007年憲法が設置する四つの裁判所の分類は以下の通りになります。

• 司法裁判所 (The Courts of Justice)
• 憲法裁判所 (The Constitutional Court)

• 行政裁判所 (The Administrative Court)
• 軍事裁判所 (The Military Court)

一つの事件がどの裁判所の管轄下に帰属するかについて疑義が生じた場合、2007年憲法は裁判所管轄委員会においてこれを解決することを規定しています。
当該委員会の構成員は司法裁判所長官を議長とし、最高行政裁判所長官、憲法裁判所長官または軍事裁判所長官のいずれか、および四名を超えない有識者から構成するものとされています。
当該委員会の決定は最終的なものとなります。


憲法裁判所
憲法裁判所は憲法自体を除く他の法律が憲法の規定・精神に反しているか否か審理をします。
憲法に反する法律は認められません。

憲法裁判所は全国に一つしかなく、憲法裁判所長官およびその他八名の判事により構成されています。

行政裁判所
行政裁判所においては、行政関連機関等および公務員等による行政権の行使、行使の欠如、或いは行政による事業に起因する損害を被ったか、或いは被ることが予測される何人によってでも訴訟を起こすことができます。

従い、国営企業を含む政府関連機関間の紛争、政府と民間企業の間の紛争は原則的に行政裁判所の管轄下に置かれます。

行政裁判所は、第一審行政裁判所および最高行政裁判所により構成されているため、第一審行政裁判所からの上訴は直接最高行政裁判所で取り扱われることとなります。従い、行政裁判は原則二審制となります。

軍事裁判所
軍事裁判所は、1995年の「軍事裁判所の設置に関わる制定」に基づき設置され、主に軍関係者が関与する刑事事件に対し管轄権を有します。

司法裁判所
司法裁判所はその他三種の裁判所、すなわち憲法裁判所、行政裁判所、および軍事裁判所が管轄権を有さない事件を取り扱います。従い、当該裁判所は民事事件、刑事事件、知的財産、破産法等に関連する事件等を取り扱うため、民間企業が関わる事件の大半は当該裁判所の管轄下に置かれます。

司法裁判所は原則的に三審制を採っており、これを構成する三審級は以下の通りになります。
• 第一審司法裁判所(サン・チャトーン=Sarn Chanton)
• 上訴司法裁判所 (サン・ウトン=Sarn Uthorn)
• 最高司法裁判所 (サン・ディカ=Sarn Dika)

原則的には三審制ではあるものの、専門裁判所が取り扱う事件の大半は原則、二審制となります。以下に各審級の概略を述べます。

• 第一審司法裁判所 (サン・チャトーン=Sarn Chanton)
第一審司法裁判所において、第一審が行われます。第一審司法裁判所は一般裁判所、青少年・家庭裁判所、および専門裁判所の三種の裁判所により構成され、特定の事件がどの裁判所の管轄下に置かれるかは事件の性質または地理的条件によって決定されます。
第一審司法裁判所を構成する各種裁判所の分類の概略を以下に述べます。

i. 一般裁判所 (第一審)
一般裁判所は、青少年・家庭裁判所および専門裁判所が取扱わない事件を全般的に審理をします。従い、一般的は民事事件および刑事事件の大半は当該一般裁判所において取扱われています。

一般裁判所はタイ全国に多数設置されており、それぞれ裁判所の管轄権は地理的に決定されます。バンコクを除いて、全国は九つの管轄区域(「第I地方」~「第IX地方」)に分割されており、管轄区域が重複することはありません。
各地方には地方裁判所(Provincial Courts)および地方簡易裁判所(Municipal Courts)が設けられており、前者は重大な事件を取扱う一方で、後者は比較的軽微な事件を審理しています。

バンコクにおいても、比較的軽微な民事および刑事事件を早期に解決すべく、簡易裁判所が複数設けられています。バンコクの簡易裁判所は、「北バンコク簡易裁判所」、「南バンコク簡易裁判所」、「トンブリ簡易裁判所」、「デュシット簡易裁判所」、「パテューワン簡易裁判所」になります。

地方裁判所は、比較的重大な民事事件および刑事事件の両者を取り扱っているが、バンコクにおいてはこれら事件数が年々ますます増加し複雑化している為、両者を扱う地方裁判所を設置する代わりに民事事件専門および刑事事件専門の裁判所に分類し裁判所が設置されています。
バンコクにおける重大な民事事件に対しては、「民事裁判所」、「南バンコク民事裁判所」、および「トンブリ民事裁判所」の三裁判所が設置されており、一方、バンコクにおける重大な刑事事件に対しては、「刑事裁判所」、「南バンコク刑事裁判所」、および「トンブリ刑事裁判所」の三裁判所が設けられています。

ミンブリ区、タリンチャン区、プラッカノン区はバンコクの一部ではあるものの、地方裁判所がそれぞれの区に設置されており、これらの裁判所は第I地方から第IX地方にある地方裁判所と同様に民事事件および刑事事件の両者を取り扱っています。

一般裁判所からの控訴は原則、上訴裁判所へなされ、一つの第一審裁判所からまた別の第一審裁判所へ事件が渡され、再審されることは原則的にはありません。

ii. 青少年・家庭裁判所(第一審)
7歳から18歳の青少年が関わる刑事事件および家庭に関する事件は原則的に青少年・家庭裁判所で審理されます。従い、同裁判所は、親権や離婚等についての案件も取り扱っています。
当該裁判所の定足数は、二名のキャリア裁判官および二名の非キャリア裁判官の計四名から成り立ちます。ただし四名のうち、一名は女性であることが要件とされています。

青少年・家庭裁判所は、「中央青少年・家庭裁判所」、「地方青少年・家庭裁判所」、および地方裁判所内の「青少年・家庭裁判部」より構成されています。

青少年・家庭裁判所からの上訴は上訴裁判所へなされます。

iii. 専門裁判所(第一審)
高度な専門知識が要求される事件に適切かつ迅速に対処すべく、専門裁判所が四つ設置されており、以下の通りになります。

1. 中央税務裁判所
2. 中央破産裁判所

3. 中央労働裁判所
4. 中央知的財産・国際取引裁判所

これら裁判所はバンコクのみに設置されており、タイ全土に対する管轄権を有します。
ただし、中央労働裁判所につきましては、各地方に支部が設けられています。

専門裁判所からの不服申し立ては原則的に上訴裁判所を経由せず直接最高裁判所へ飛越上告されます。
ただし、例外もあり、上訴裁判所に事件が取り扱われる場合も中にはあります。

ここまで、第一審裁判所について述べてきました。次に上訴裁判所(第二審)について触れます。

 上訴裁判所 (サン・ウトン=Sarn Uthorn)
全国には計十の上訴裁判所が設置されています。バンコクには「中央上訴裁判所」が一つ設置されており、残る全国は計九つの管轄地区(「第I地方」~「第IX地方」)に地理的に分割され、それぞれの管轄地区に一つの地方上訴裁判所が設置されており、二つ以上の地方上訴裁判所の管轄地域が重複することはありません。
上訴裁判所の地理的な区分けの境界は、九つの地方裁判所(Provincial Courts)および九つの地方簡易裁判所(Municipal Courts)に与えられている境界と同一になります。

原則的に、第一審裁判所の判決等に対する不服申し立ては上訴裁判所へなされます。
ただし、上述の通り、専門裁判所からは通常直接最高司法裁判所へ飛越上告がなされます。この場合、二審制となります。

一つの上訴裁判所からまた別の上訴審裁判所へ事件が渡され、同一の審級で再審されることは原則的にはありません。

 最高司法裁判所 (サン・ディカ=Sarn Dika)
最高司法裁判所は、バンコクに設置されており、司法裁判所を統括する最上位の裁判所になります。
最高裁判所は法律の適用、および事実認定についても審理をすることができます。最高裁判所は上訴内容が審理に相当しないと判断した場合、これを受理しない権限を有する。

最高司法裁判所は国会議員の選挙・選出に関わる訴訟を審理、判定する権限も有します。当該裁判所には政治職者刑事訴訟部も設置されています。

事件が最高司法裁判所で審議される前提とし、上訴裁判所における審議を経る必要があります。しかし、例外的に、専門裁判所(第一審)からの上訴については、最高司法裁判所が直接取り扱っています。

外国人とタイの裁判所の関係
タイの裁判所においては、外国人 は実務上、差別を受けることなく、タイ人と同等に扱われています。

タイの裁判制度には陪審制が無いため裁判官が裁判を取り仕切っています。審尋等は全てタイ語でなされ、裁判官は積極的に証人を尋問します。

タイは外国判決の執行に関わる条約を他国と締結していないため、他国の裁判所の判決はタイでは執行されません。
ただし、外国の審理結果を一つの証拠類としてタイの裁判所に提示することは認められています。
一方、外国の仲裁判断は執行の対象となります。

投稿者 Mr. West 時刻: 17:03 
ラベル: タイ、ビジネス、法律、裁判所
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2016年07月01日