国別海外監査ガイドブック タイ王国編
1.概略
(1)国家概要
タイ王国は 1238 年のスコータイ王朝が始まりとされている。日本ではシャム(Siam)
として知られてきた。東南アジアでは唯一植民地化されていないことでも有名。
現チャクリー王朝は 1782 年から続き、現在の国王はラマ9世。世界で最も在位期間の長い王であると同時に、国民から最も尊敬を受けている王としても知られている。
政治制度は立憲君主制であり、国王が国家元首であるが、国政の最高責任者は首相。
2011 年の総選挙でタイ貢献党の勝利によりインラック氏がタイ王国初の女性首相に就任
し現在に至っている。
日本からは飛行機で約6時間。フライトは数十便/週もあり大変便利。1年を通して
気温は高いが、高いなりに安定しているので身体は楽。微笑みの国として有名で、観光
地や保養地として日本人の人気は非常に高い。
(2)一般的事項
@ 面積:約 513 千?
A 人口:約 67 百万人
B 民族:マレー系を含むタイ人が 75%、中華系が約 14%、その他が 11%
C 言語:タイ語
D 宗教:仏教がほぼ 95%、イスラム教が 5%弱
E その他:
平均年令は 34.7 歳。出生率 1.56。(2011 年)。1 人当たり GDP(名目、2011 年)
は US$5,395。中国に次いで第 91 位。

2.法令、コーポレート・ガバナンス
(1)法体系の概要
@ 法体系
@)ヨーロッパ法の影響を受けて大陸法(civil law)の法体系。
A)憲法:2007 年憲法
B)国家機関:議会は下院(人民代表院)と上院(元老院)で構成。
下院議員(480 人)は公選制で任期4年。
上院議員(150 人)は、任期6年の民選議員 76 人と任期3年の任命議
員 74 人で構成され、任命議員には 40 歳以上等の条件がある。
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C)法律:下院と上院それぞれで可決されることが必要。
D)法律の下に省令や地方自治体条例がある。
E)国王による勅令や勅命もある。

A 司法制度
@)司法裁判所:通常の民事及び刑事訴訟を担当。3審制。
A)憲法裁判所:憲法問題を担当。
B)行政裁判所:行政訴訟を担当。
C)軍事裁判所:軍事訴訟を担当。
監査上の主な留意点 1
法体系に関する留意点
・ 行政当局又は役所から過去に指摘された違反行為等の事例はあるか。
(Has Company ever had any cases indicated as violations by local government or authorities?)
・ コンプライアンスに関わるリスク分析は適切に行われているか。特に、現地特有でリスクの高いリーガルリスク
を洗い出しているか。
(Does Company assess any risks in relation to its compliance? Especially, does Company identify the significant legal risks
specifically to the country or area?)
・ 紛争、係争問題発生時に対する対応体制は構築・運用されているか。
(Does Company establish and manage any measures in relation to possible disputes or court cases?)
・ 係争中あるいはそのおそれのある案件はないか。
(Does Company have any pending litigations or any issues likely to become disputes?)

(2)会社法の概要
@ 会社法
@)民商法典(Civil and Commercial Code)及び公開会社法(Public Company Act)
が基本。
A)公開会社に対しては、公開会社法の上に証券取引法(The Securities and Exchange
Act)がある。また、証券取引委員会(Securities and Exchange Commission:SEC)、
証券取引所(Stock Exchange of Thailand:SET)、資本市場監視委員会による規制
もある。
B)SEC は公開会社の取締役の3分の1以上が独立取締役であることを義務づけてい
る。さらに3人以上の独立取締役から構成される監査委員会を設置しなければなら
ないとしている。
C)SET は公開会社に対するコーポレート・ガバナンスの原則を制定している。
A 会社の種類
@)民商法典に基づく非公開会社と公開会社法に基づく公開会社があるが、圧倒的に
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非公開会社が多い。
A)その他に普通パートナーシップ会社と有限パートナーシップ会社もある。
B 会社の機関
@)株主数:非公開会社は3名以上、公開会社は 15 名以上。
A)株主総会:年に1回以上開催。
・ 非公開会社の定足数:25%以上の株主数。
・ 公開会社の定足数:25 名以上または半数以上の株主が出席し、かつ全株式数の
3分の1以上を構成する株主が出席すること。
・ 普通決議は出席株主の過半数の賛成。特別決議は 75%以上の賛成。
B)取締役数:非公開会社は1名以上、公開会社は5名以上かつ過半数はタイ国内居
住者。
C)会計監査人:全ての会社が会計監査人を設置する義務を負う。
D)監査役制度はないが、公開会社には監査委員会を義務づけ。
監査上の主な留意点 2
会社機関等に関する留意点

・ 当該事業会社に監査役がいるか、また監査しているか、いない場合は、それを補完する体制ができているか。
・ 事業会社の所在国における開示・登記等に関する義務は遵守されているか。
(Is Company complying with any obligations with respect to company disclosures and registrations in the country?)
・ 定款、取締役会規則、株主間協定、職務権限規程、経理規程、就業規則などの社内諸規則・規程は整備されてい
るか。
(Are company rules or regulations such as articles of incorporation, rules of board of directors, shareholders agreements,
standards of authority and responsibilities, accounting rules, employment rules, etc. well established?)
・ 株主総会、取締役会等の決定機関は適正に機能しているか。
(Are decision making organizations properly functioning, such as shareholders meetings, meetings of board of
directors?)
・ 株主総会、取締役会等の議事録は整備されているか。
(Are minutes of shareholders meetings, meetings of board of directors etc. made and properly managed?)
・ 事業会社は上場しているか。上場している場合、開示義務や負担に対して、開示の実態およびIRは適切か。
(Is Company publicly listed in the stock exchange market? If Company is publicly listed, does Company properly fulfill
its obligations of periodic reporting and disclosing as well as any other IR activities in accordance with applicable laws
and regulations?)
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コーポレート・ガバナンスに関する留意点


・ 企業集団で共有すべき経営理念・行動基準・課題が事業会社内部に周知徹底されているか。特に法令遵
守を周知徹底しているか。
(Are corporate philosophy, code of conduct and important subjects that should be shared among Company group
well-known to all part of Company? Especially, does Company assure its compliance to the laws and
regulations?)
・ 内部統制の基本方針は、本社の方針との整合性が取れているか。
(Are Company's basic policies over internal control consistent with that of Headquarters?)
・ 経営責任者がコンプライアンスの重要性などのメッセージを全従業員に発信する機会はあるか。
(Are there opportunities for Executive Manager to present messages to all employees about the importance of
compliance etc.?)
・ 本社の圧力が不当にかかったり、あるいは本社が過度に無関心になっているようなことはないか。
(Does Company have any unreasonable pressures from Headquarters? Or, Do you feel Headquarters is too
disinterested in the activity of Company?)
・ 事業会社における重大な法令違反や重大な損害の発生またはそのおそれがあるときは、監査役に報告が
来ているか。監査役への報告体制は構築され、適切に運用されているか。
(In case there are big violations of laws or big damages or such possibilities, are such events reported to Audit &
Supervisory Board Member? Are the reporting systems or procedures to Audit & Supervisory Board Member are
established?)
・ 意見箱を含む内部通報制度が構築され、適切に運用されているか。
(Does Company properly establish and operate the internal reporting systems including opinion boxes?)
・ 内部監査により発見ないし指摘された問題がある場合、実態把握と対応状況を確認しているか。
(In case there is/are issue(s) indicated through the internal audits, does Company recognize the actual condition
and confirm any countermeasures?)
・ 事業会社に別の親会社やパートナーがある場合、関連当事者との取引はないか。関連当事者との取引が
ある場合、取締役会にて事前承認されているか、承認後の当該取引の妥当性が定期的に確認されている
か。
(In case Company has other parent company(ies) or partner(s), does Company have any transactions with related
party(ies)? In case YES, are any of such transactions approved in advance by the board of directors, and are the
appropriateness of the transactions periodically evaluated after the approval?)
・ 不正防止のために発注・検収・支払の三権は分立しているか。たとえば、発注の担当者が検収も担当し
ていないか、発注または検収の担当が支払も担当していないか。
(Are the three powers - ordering, acceptance (inspecting incoming goods) and payment, clearly separated for
preventing any misconduct? (For instance whether the person in charge of ordering is in charge also of the
acceptance? Or, whether the person in charge for payment also in charge for ordering or acceptance?))
・ 財務(出納)と経理(記帳)に関する一連の業務または仕入に関する業務について、他者による実効的なチェ
ックを経る仕組みまたは人事ローテーションや休暇の強制取得といった牽制の仕組みは構築・運用され
ているか。
(Are there practical and useful checking systems, revolving systems for person in charge or compulsory days-off
systems established for finance(receiving and payment) and accounting(bookkeeping)?)
・ 会計監査人・監査人・内部監査部門・親会社の関係部門・意見箱を含む内部通報等から指摘・発見・通
報された重大な法令違反・重大な損害・不正行為や不当な事実の発生またはそのおそれはないか。
(Are there big violations of laws or big damages or such possibilities indicated by accounting auditors, internal
auditors, related business lines of Headquarters and internal reporting(including opinion boxes)?)
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(3)労働法、労働行政
@ 労働法の体系・行政
@)2010 年労働者保護法(第4版)
・ 労働法上ストライキ権を規定してあるが、実際は違法ストが多い。
・ 一定の解雇手当を支払えば解雇できる。
・ 2013 年1月からは最低賃金が全国一律 300 バーツ/日。
・ 労働者保護法にセクハラ禁止条項が加えられた。
A)労働者保護法による労働時間規制について
・ 通常労働時間は1日8時間以内、1週間の合計が 48 時間以内。
・ 時間外労働に関しては1週間で 36 時間を超えない。
・ 平日の残業費は 1.5 倍、休日の勤務費は 2.0 倍、休日の残業費は 3.0 倍。
・ 妊婦及び年少労働者の時間外労働等の禁止。妊婦の深夜勤務禁止。
・ 1週間に1日以上の休日。
・ 1年間継続して勤務した従業員は6日以上/年の年次有給休暇を取ることがで
きる。年次有給休暇の日数については、労使合意により決定される。
A 外国人雇用制度
@)ノン・イミグラントビザ及びワークパーミットが必要。
A)39 業種については外国人就業禁止。
(4)競争法
@)取引競争法:1999 年4月 30 日から施行。
A)執行機関は、取引競争委員会。商務大臣を委員長として、内閣の任命する8〜12
人の有識者(政治家を除き、半数以上は民間出身者)によって構成される。
B)制裁としては、懲役 and/or 科料。損害賠償訴訟についても規定されている。

(5)贈収賄規制
@)Transparency International による 2012 年の腐敗認識指数:37 点(100 に近い程
腐敗度が低い)。176 カ国中腐敗度の低い方から 88 位(125 頁参照)。
A)2007 年憲法の下で全国汚職防止委員会が設置され、2007 年に汚職防止法が改正さ
れた。
B)2011 年には国連汚職防止条約を批准し、国内法の整備が進められている。
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監査上の主な留意点 3
労働法、競争法、贈収賄規制に関する留意点
・ 労働組合はあるか。労働組合がある場合、組合との対応方法は整備されているか。問題発生の事例はあるか。 (Does Company have any labor union(s) in Company? If there are any labor union(s), does Company have any
guidelines to associate with the union(s)? Has Company ever faced any problem with union(s) in the past?)
・ 現地採用者の雇用条件に問題はないか。
(Does Company have any issues in relation to employment conditions for national staffs?)
・ 安全、健康、福利厚生について、現地規制、本社方針との整合性は十分に考慮されているか。
(Do the policy and measures related to safety, health and welfares conform to local laws and regulations and the
policy of Headquarters?)
・ 安全、健康、福利厚生について、対策等の対応は十分か。
(Are adequate measures to safety, health and welfare sufficiently taken?)
・ 独禁法(競争法)について、現地の成文法・ガイドラインだけでなく、現地の特性を把握しているか。
(In addition to the statutory laws and guidelines of the local competition laws, does Company recognize the peculiar
feature in the country?)
・ 独禁法(競争法)について、コンプライアンスプログラムや同業他社との接触基準は制定されているか。
(Does Company establish any compliance programs in relation to competition laws or any rules to contact
competitors?)
・ 贈賄リスクについて、執行(摘発)傾向、公共部門(国営企業含む)の汚職・腐敗の高い国か、接待の日常化等
異常な商習慣が常態化しているか等を把握しているか。コンプライアンスプログラムの制定などの対応をし
ているか。
(Regarding bribery, does management recognize the situation of the country or region with regard to tendency of
enforcement (exposure), spread of corruption including public sector (government enterprise inclusive), inadequate
business practice including frequent entertainment as solicitation? In case there are high risks falls under the preceding
clause, does Company take necessary measures such as setting-up of compliance program?)

3.会計制度、税制度
(1)会計基準
2011 年1月1日より、IFRS をほぼそのままタイ語に翻訳した新タイ会計基準(New
TAS:Thailand Accounting Standard)をすべての企業に適用することになった。
(2)税法体系
法人税率は最近引き下げられ、2012 年1月1日以降に始まる会計年度は 23%、2013
年1月1日以降に始まる2会計年度は 20%となった。VAT(付加価値税)は税率7%。
(3)その他
「会計担当者の資格要件に関する省令」によれば、
・ BOI 奨励企業では、会計担当者は会計学士であること。
・ 総資産または総収益が 30 百万 THB 以上、公開会社、外国法人、税法上の共同事
業体、銀行、金融業、証券、保険業、投資委員会の認可企業については会計学士
または同等の学位を有すること。
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・ 総資産額または総収益が 30 百万 THB 以下の場合は、職業高校または短大で会計
に関する学科を修了していること。
監査上の主な留意点 4
会計制度、税制度、商習慣
・ 現地ベースでの会計基準・会計処理方針と、本社のそれとの違いは明確に把握されているか。
(If there exist differences in accounting principles and accounting policies between Company and Headquarters,
are those differences clearly recognized?)
・ 不良在庫(不要・陳腐化・滞留の在庫)に関する評価および引当てのルールが規定され適切に運用されてい
るか。
(Are the rules established and implemented properly for the evaluation and reserving of dead stock (unnecessary
stock, deteriorated stock, and/or long-held inventories) ?)
・ 期末実地棚卸は、手順どおり網羅的に整然と実施され、帳簿との差異の追究は行われているか。滞留品や
棚卸除外品の現物確認によりその判断に問題はないか。
(Is the year-end physical inventory taking thoroughly conducted according to regulated procedures and are the
discrepancies in books examined? Are there any problems in its judgment on the slow moving inventory and/or
excluded goods from inventory by confirming the actual goods?)
・ 固定資産の台帳と現物を定期的に照合しているか。
(Is Company periodically collating the actual goods and fixed assets ledger book?)
・ 税務当局から指摘された事項はあるか。ある場合、不適切な決算・不祥事につながるような事項はないか。
(Are there any matters pointed out by the tax authority? If yes, are there any matters leading to inappropriate
settlement of accounts or to scandalous affairs?)
・ 会計監査人による指摘があった場合、その内容およびマネジメント・レターを受領後の経営側の対策の状
況に問題はないか。
(In case there were some matters pointed out by accounting auditor, are there any problems in the content of the
matter or in the counter action taken by the management after receipt of management letter?)
・ 財務報告内部統制について現地監査人監査における問題点や指摘された不備事項がある場合、期限内に是
正されたか。
(If the local accounting auditor indicated any problems or deficiencies regarding the internal control of financial
reporting, was the corrective action made within the time limit?)
・ 与信の管理方法は確立され、適切に運用されているか。
(Does Company properly establish and implement the credit control method?)

4.金融・投資
(1)外資政策(優遇、規制)
@ 投資委員会(BOI:Board Of Investment)制度
@)タイへの投資を促進するためのインセンティブを提供する政府機関。
A)主な恩典は、
・ 機械や原材料に課される輸入関税の減税・免税。
・ 1〜8年間の法人税の免除。
・ 輸送・電気・水に関する費用に係る課税所得からの二重控除。
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・ 法人税の免除期間中に免税利益を原資に配当する場合の源泉税(10%)の免除。
B)Project 毎に運用されるので要注意。
A 取引規制
@)タイ証券取引所(SET)が唯一の証券取引所。
A)市場としては、メインボード(475銘柄)とMAI:Market for Alternative Investment
(69 銘柄)があり、東証に例えるとメインボードは市場第一部、MAI はマザーズに
相当。
B)株の種類は、
・ L 株:現地で流通する普通株で、外国人が保有した場合は、配当及びワラントを
受け取る権利及び議決権が無効となる。
・ F 株:タイ人が保有した場合に、配当及びワラントを受け取る権利及び議決権が
無効となる。
・ NVDR:「議決権なし預託証券」と呼ばれ、タイ人、外国人とも保有した場合は
議決権はないが配当及びワラントは受け取ることができる。
(2)為替管理制度
タイを発端とした 1997 年のアジア通貨危機の反省から変動相場制に移行。
高い経済成長を背景に、比較的高金利(日本の約 10 倍)が続いていたが、直近はバー
ツ高の進行で利下げ傾向が見られる。
(3)土地保有制度
原則として外国人(法人を含む)は土地を取得できない。ただし、BOI 奨励企業や、
タイ工業団地公社(IEAT:Industrial Estate Authority of Thailand)認定の工業団地に
立地する企業の場合は、土地取得が可能。


監査上の主な留意点 5
投資、金融に関する留意点


・ 大口投融資案件、その他の重要案件は、適切な機関により十分な検討を経て決定されているか、本社として確認
しているか。
(Are major investments/financing and other important items of Company thoroughly studied and decided by the
appropriate organizations and confirmed by Headquarters?)
・ 資金の調達が親会社の保証付の場合、為替リスク等に問題はないか。
(If the financing is made with the guarantee by the parent company, are there any problems such as currency risk?)

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5.その他のリスク
(1)政情
政治の不安定さは日本よりも深刻。政権交代が頻繁であり、クーデターも頻発してい
る。特に 2006 年以降はタクシン派(赤シャツ)と反タクシン派(黄シャツ)の対立が続
いている。
(2)反社会的勢力、テロの存在
最南部での分離独立運動は長期化・深刻化している。カンボジアとの国境紛争、カレン
族難民問題もかかえている。
(3)インフラ
工業団地のインフラは格段に良くなった。
バンコク市内の交通は、モノレールや地下鉄の整備により以前よりは改善しているが、
ラッシュ時の交通渋滞は依然として激しいものがある。
(4)自然災害
2011 年末のバンコク周辺地区大洪水では被害が甚大であった。
南部では地震はない。北部では小地震がある。
(5)感染症
デング熱感染が拡大中。食中毒は多い。肝炎の危険もある。
麻薬問題、エイズ問題もある。
(6)日本人従業員の生活・勤務環境
日本人に対する治安は比較的良いが、危ないところは危ない。
スリが多い。日本人ねらいの詐欺もある。
特定の記念日には飲酒ができない。
(7)その他
先ずは政変に要注意。
労働組合は基本的には落ち着いているが、こじれ始めるとストライキになる。ストラ
イキ件数は増加傾向。外部からのアジテーター侵入には要注意。
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監査上の主な留意点 6
その他のリスクに関する留意点
・ 現地及び当該事業に特有かつ検討の対象とすべき特殊な事項および事業分野はないか。
(Does Company have any special matters or business segments which are unique to the local market and business
and also require to be examined?)
・ リスク管理のための体制は構築され、適切に運用されているか。
(Does Company establish and operate the risk management systems?)
・ 事業会社の事業そのものに関わるリスク全般、すなわち自然災害、政体の安定性、経済・為替変動を含めた
金融市場の混乱、市況・原材料価格変動を含めた市場動向、競争環境、外的脅威等の外部環境リスク並び
に、社内体制、人材流出、顧客満足度、ブランド力、ITセキュリティ、調達、生産、金融リスク等の内
部リスクなど、外部および内部の要因に基づく諸々の予見されるリスクに関して、十分な分析・評価が行
われているか。
(Does Company sufficiently conduct analysis and assessment for major risks in general that may influence to the
operation of Company? (e.g. External risks such as natural disasters, political stability, turmoil of finance market
including fluctuation of economy and foreign exchange, market trend of prices of products and raw materials,
competitive conditions, threat from outside, and Internal risks such as organization, loss of employees, customer
satisfaction, branding, IT security, procurement, production, financing))
・ 大型の自然災害、火災、重大労災、テロの発生や広域の停電等の非常時の対応体制は構築・運用されている
か。
(Does Company establish and operate any countermeasures for major natural disasters, fires, workman's
accidents, terrorisms, large area power failure, etc. ?(e.g. emergency communication net work, control systems etc.))
・ 電子情報のセキュリティに関する規程はあるか、適切に運用されているか。
(Does Company have any rules for security of electronic data and adequately operate the rules?)
・ 現地への出向者とその家族のセキュリティ・医療・子女教育等に問題や改善を要する点はないか。
(Are there any problems or conditions to be improved for seconded personnel and their families, such as their
security, medical services, education and etc.?)
6.参考資料
米国 CIA:The World Factbook
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/th.html
日本貿易振興機構(JETRO):国・地域別参考情報
http://www.jetro.go.jp/world/asia/th/
外務省 各国・地域情勢
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/thailand/data.html
公正取引委員会 各国の競争法
http://www.jftc.go.jp/kokusai/worldcom/kakkoku/abc/allabc/t/tailand.html
独立行政法人労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/kunibetu/kiso/2000/taiP02.htm
企業法務ナビ
http://www.corporate-legal.jp/info_corporate_legal/south_east_asia/thailand/
月刊監査役 2011 年 11 月号(No.591)