中小企業振興法
(前文省略)
第一条
この法令を「仏暦二五四三年[西暦二〇〇〇年]中小企業振興法(プララーチャバンヤット・ソンサーム・ウィサーハキット・カナード・クラーン・レ・
カナード・ヨーム)」と呼ぶ。
第二条
この法令は官報告示日の翌日から施行する。
[注/官報告示日は西暦二〇〇〇年二月一七日]
第三条
この法令において、「企業(ウィサーハキット)」とは、製造業、サービス業、卸売業、小売業、または大臣が官報で告示したところに基づくその
他の事業を意味する。
「基金(ゴーントゥン)」とは、中小企業振興基金を意味する。
「民間機関(オンカーン・エカチョン)」とは、民商法典または特別法に基づき設立され、全会員の過半数を工業、サービス業、商業を営む
中企業または小企業が占める民間の機関を意味し、大臣が官報で告示規定したその他の民間機関も含める。
「事務所(サムナックガーン)」とは、中小企業振興事務所を意味する。
「委員会(カナカマカーン)」とは、中小企業振興委員会を意味する。
「運営理事会(カナカマカーン・ボリハーン)」とは、中小企業振興事務所運営理事会を意味する。
「事務所長(プー・アムヌアイガーン)」とは、中小企業振興事務所長を意味する。
「大臣(ラッタモントリー)」とは、この法令の主務大臣を意味する。
第四条
中小企業とは、省令が規定した雇用数、固定資産額、払込済み資本額を有する企業のことである。
第五条
工業大臣がこの法令の主務大臣であり、この法令に基づく執行のために省令、布告を制定する権限を有する。
その省令、布告は官報で告示した時施行することができる。
第一章 中小企業振興委員会
第六条
内閣総理大臣を委員長、工業大臣を副委員長、大蔵大臣、農業・協同組合大臣、商業大臣、労働・社会福祉省事務次官、科学技術環境省事務次官、
工業省事務次官、国家経済社会開発委員会事務局長、投資奨励委員会事務局長、タイ商業会議所代表、タイ工業連盟代表、内閣が任命する一二人以下の
有識者を委員、事務所長を委員兼書記とする中小企業振興委員会を設置する。
第一段落に基づく有識者委員は中小企業に係る知識、専門性、経験を有する者でなければならず、民間機関の代表から六人以上が任命されなければならない。
第二段落に基づく民間機関の代表のうち三人以上は地方の中小企業事業者でなければならない。
第七条
有識者委員は以下の資格を有し、かつ禁止様態にあってはならない。
(一)タイ国籍を有する。
(二)破産者ではない。
(三)無能力者または準無能力者ではない。
(四)最終判決で拘禁刑を受けたことはない。ただし過失罪、軽犯罪を除く。
第八条
有識者委員の任期は一期二年とする。
任期切れ前に有識者委員が離任した場合、または任命済みの委員の任期中に増員のため有識者委員の任命が新たにあった場合、代りに任命された、
または増員のため任命された有識者委員の任期は、すでに任命された他の委員の任期と同じとする。
第一段落における任期が切れた時、新有識者委員の任命がまだなされていない場合は、その任期が切れた有識者委員が引き続き新有識者委員が任命され
職務に就くまで職務に当たる。
任期切れにより退任した有識者委員は再任されることができるが、連続して二度までとする。
第九条
第八条に基づく任期切れによる退任のほかに、有識者委員は以下の時に離任する。
(一)死亡した。
(二)辞任した。
(三)内閣が解任した。
(四)第七条に基づく資格を失った、または禁止様態にある。
第一〇条
委員会の会議は、全委員の過半数以上の出席をもって成立する。
委員長を会議の議長とする。委員長が会議に不参加、または職務を遂行できない場合、副委員長を会議の議長とする。委員長、副委員長とも
会議に不参加、または職務を遂行できない場合は、会議に出席した委員が一人の委員を互選し、議長とする。
会議の決定は多数決による。委員一人は一票を有し、票数が同数の場合は議長が決定票を投じる。
第一一条
委員会は以下の権限及び義務を有する。
(一)内閣の承認を求めるため中小企業振興の政策及び計画を規定する。
(二)第三条に基づくその他の事業の形態を規定し、官報告示のために内閣に提出する。
(三)第四条に基づく中小企業の形態を規定し、省令制定で内閣に提出する。
(四)国内の中小企業の状況に係る報告を内閣に提出し、年に一回以上その報告を一般に公開する。
(五)第三七条に基づく中小企業振興行動計画の承認を審議する。
(六)第三七条、第三八条、第三九条に基づき、中小企業振興行動計画に沿った行動に関し、政府部
門、国家機関、国営企業に助言する。
(七)中小企業振興政策及び計画に基づく振興のため金融、財政、租税、その他の面での基準を関
係政府部門、国家機関、国営企業に提言する。
(八)中小企業振興に係る法律の制定または改訂増補を関係政府部門、国家機関、国営企業に提案する。
(九)国内外の中小企業の振興において国内外の政府部門、国家機関、国営企業、民間機関間の協力関係を強化、調整する基準を規定する。
(一〇)運営理事会の業務を監督する。
(一一)法律が委員会の権限義務と規定したところに基づくその他の職務遂行。
第一二条
委員会はこの法令に基づく職務遂行において、何らかの者を召喚し、審議を構成するために証言をさせる、または証拠を
提出させる権限を有する。
第一三条
委員会は、委員会の委任に基づき何らかの遂行をさせるため小委員会を任命する権限を有する。
第一段落に基づく小委員会の職務遂行に第一〇条、第一二条を準用する。
第一四条
この法令に基づく職務遂行において、委員会は事務所、政府部門、国家機関、国営企業、民間機関に対し遂行を委任する、または委員会の
審議に付すための案件を準備させることができる。
第一五条
委員長、副委員長、委員、小委員会委員長及び委員は、大臣が規定したところに基づき、会議手当て及びその他の報酬を受け取ることができる。
第二章 中小企業振興事務所
第一六条
「中小企業振興事務所」と呼ぶ事務所を設置し、以下の目的を有する法人とする。
(一)経済社会情勢と整合させるため中小企業の種類及び規模の規定に係る原則を規定する。
(二)振興を受けるに相応しい中小企業の種類及び規模を規定し、中小企業振興政策及び計画を提言する。
(三)関係政府部門、国家機関、国営企業、民間機関間の調整を行ない、中小企業振興実行計画を策定する。
(四)国内中小企業の状況を研究し、報告をまとめる。
(五)この法令の改定、新法の制定、中小企業振興に係る法律の改訂増補または変更について委員会に提言する。
(六)委員会及び運営理事会の方針及び決定に基づき基金を運営する。
(七)委員会、運営理事会、及び委員会または運営理事会が設置した小委員会の事務を担当する。
(八)法律が事務所の権限義務と規定したところに基づく、あるいは委員会または運営理事会が委任したところに基づくその他の職務遂行。
事務所は予算法またはその他の法律に基づく政府部門または国営企業ではない国家機関とする。
事務所の事業は労働保護法、労働関係法、社会保障法、補償金法の適用下には置かれない。
第一七条
事務所は第一六条に示されたところに基づく目的の範囲において様々な権限義務を有すると共に、以下の権限義務をも有する。
(一)寄付者のいる財産を含めた動産または不動産の調達、権利所有、占有権所有、様々な財産権所有、賃貸、賃借、リース、リース供与、賃貸権または
リース権の移転または移転引受、その他の方法による売却、販売。
(二)保証人または担保を有する資金借入または貸付、あるいは投資。ただし中小企業研究・開発・振興の質向上に資するためだけに限定する。
(三)中小企業振興のための助成または支援。
(四)中小企業振興に資する他者との共同事業、株式会社または株式公開会社への出資。
(五)中小企業振興に資する国内外の政府部門、国家機関、国営企業、民間機関との協力。
(六)事務所の目的の範囲内でのサービスに対する報酬またはサービス費の受け取り。その報酬、サービス費に係る条件規定での合意。
(七)事務所の目的の追求に係るその他の行為。
(二)、(三)、(四)に基づく資金借入、資金貸付、投資、基金からの助
成または支援実施は、運営理事会が第二〇条(一二)に基づき規定した
金額を超える場合には、委員会の事前承認を受けなければならない。
第一八条
工業省事務次官を理事長、予算局長、大蔵省代表、農業・協同組合省代表、商業省代表、投資奨励委員会事務局代表、工業振興局長、委員会が任命する有識者七人を理事、
事務所長を理事兼書記とする中小企業振興事務所運営理事会を設置する。
第一段落に基づく有識者理事は、中小企業に係る知識、専門性、経験を有する者で、職位、定時給与を有する公務員ではない者が五人以上いなければならない。
第一九条
第七条、第八条、第九条の規定を運営理事会の有識者理事の任免にも準用する。ただし第九条(三)に基づく退任は委員会の権限とする。
第二〇条
運営理事会は事務所の業務一般の監督責任、管理、運営方針の策定で権限を有し、その権限には以下も含む。
(一)第一六条(一)(二)(三)(四)(五)に基づく事務所の業務認可を審議し、委員会に提出する。
(二)中小企業振興に係る件について委員会及び大臣に提言、意見具申する。
(三)事務所の毎年の業務計画、財務計画、予算を認可する。
(四)事務所の基金運用方針を規定、監督する。
(五)第三四条に規定された事業で使用するため基金の配分を審議する。
(六)事務所の会計、財務に係る規約を制定する。
(七)事務所の業務配分、運営、執行についての規約を制定する。
(八)職員及び雇員の人数、地位、雇用期間、月給水準、賃金、その他の金銭を規定する。
(九)職員・雇員の採用、任命、職位規定、月給・賃金レート規定、月給・賃金改定、離任、職務規定、罰則、罰則への不服申立て、苦情申立て、
及び人事運営一般についての規約を制定する。
(一〇)事務所長の選出、事務所長の職務、事務所長の職務代行者への委任についての規約を制定する。
(一一)職員及び雇員の福利厚生についての規約を制定する。
(一二)基金の資金の借入、貸付、投資、助成、支援、または共同事業、出資の原則、条件、方法を規定する。
(一三)第三六条に基づく基金マネージャーの権限、経営・運用方法に係る規則を制定する。
(一四)基金の出納規則を制定する。
(一五)委員会に提出するため基金の出納報告を作成する。
(五)に基づく基金の配分、及び(一二)(一三)(一四)に基づく規則の制定または改定変更は、委員会の承認を得た時に施行することができる。
第二一条
運営理事会は、運営理事会が委任し職務を代行させるため小委員会を設置する権限を有する。
運営理事会及び運営理事会が任命した小委員会の会議に第一〇条の規定を準用する。
第二二条
理事長、理事、小委員会委員長、小委員会委員は委員会が規定したところに基づき会議手当て及びその他の報酬を受け取る。
第二三条
運営理事会を事務所長の任命者とし、事務所長の月給及び報酬を規定する。このとき委員会の承認及び運営理事会が規定した雇用契約に従う。
第二四条
事務所長は以下の資格を有し、かつ禁止様態にあってはならない。
(一)中小企業に係る知識、専門性、経験を有する者である。
(二)事務所に常勤できる者である。
(三)職位及び定期月給を有する公務員、政治職者、地方行政体職員、地方議会議員、地方行政者、または事務所の職員・雇員ではない。
(四)第七条に基づく資格を有し、かつ禁止様態にない。
第二五条
事務所長の任期は一期四年とする。
任期切れにより退任した事務所長は再任することができるが、連続二期までとする。
第二六条
事務所長は第二五条に基づく任期切れによる退任のほかに以下の時に退任する。
(一)死亡した。
(二)辞任した。
(三)運営理事会が委員会の承認をもとに解任した。
(四)第二四条に基づく資格を欠いた、または禁止様態にある。
第二七条
事務所長は以下の権限を有する。
(一)事務所の目的、権限、及び運営理事会の方針、規約、規則、決定に基づく事務所の運営。事務所職員・雇員の指揮。
(二)運営理事会が委任したところに基づく事務所の運営、業務遂行における責任。
(三)運営理事会が規定した規約に反しない事務所の業務に係る規則の制定。
(注:JETROバンコクより引用)