第二〇条
会議で審議する件について直接・間接の利害関係を有する理事は、理事会に自己の利害関係を知らせ、その件について審議する会議に参加することはできない。
第二一条
理事会は第一一条に基づく目的の範囲内で銀行の事業の方針を定め、管理監督する権限義務を有する。その権限義務には以下も含む。
(一)銀行の株式についての規則制定
(二)現金貸出、債務保証、様々な金融機関への手形販売・割引販売、質受、抵当引受、その他銀行
の営業についての規則制定
(三)銀行の経営及び事業運営に係る規則制定
(四)人事、報酬、及びその他の銀行の費用に係る規則制定
(五)銀行の調達、雇用、財務、財産、会計、内部監査に係る規則制定
(六)銀行の従業員、雇員、及びその家族の福利厚生についての規則制定
(七)銀行の支店もしくは代表事務所の開設
第二二条
理事会は経営役員会会長、及び三人以下の経営役員からなる経営役員会を任命し、総裁を地位に
基づく経営役員とする。
第一段に基づき理事怪が任命した経営役員の任期は二年とし、第一五条、第一六条第二段、第三
段、第四段、第一七条、第一九条、第二〇条の内容を経営役員会の禁止様態、就任、退任、会議、職
務遂行に準用する。
第二三条
理事会は以下の資格を有し、かつ禁止様態にない者を選出し、総裁に任命する。
(一)タイ国籍を有する
(二)理事会が定めた原則及び期間に基づく経営面での経験を有する
(三)銀行業、経済、工業もしくは法律に係る知識または専門性を有する
(四)第一五条(二)(三)(四)(五)もしくは(六)に基づく禁止様態にない、かつ
(五)公務員、国営企業職員、その他の従業員または雇員ではない
就任、退任、試用におけるその他条件の規定もしくは総裁職務の遂行及びその評価は理事会が定
めた雇用契約に従う。雇用期間は一期四年以下とし、雇用契約が満了した時、理事会は雇用契約を延長することができる。
ただし連続二期までとする。
総裁の雇用において、理事長が銀行の名において雇用契約に署名する。
第二四条
経営役員会は銀行の業務における方向性及び方法の設定で権限義務及び責任を有し、理事会が定めた方針及び目標に従う。このとき第二五条に基づく総裁の権限義務を侵してはならない。
経営役員会は三ヶ月ごとに理事会に対し業績報告をしなければならない。
第二五条
総裁は理事会もしくは経営役員会が定めた目的、方針及び規則に従い銀行の事業を運営する権限を有する。
第二六条
総裁は銀行の従業員及び雇員の統率者であり、銀行の付属定款に基づく権限義務を有する。
第二七条
外部の者に係る事業において、総裁は銀行の代表者となり、そのために総裁は銀行の従業員もしくは雇員に、ある事業において代行を委任することができる。ただしこのとき銀行の付属定款に従わなければならない。
第二八条
総裁の地位が空席になっている、もしくは総裁が一時的に職務を遂行できない時、副総裁が総裁代理または総裁代行となる。
副総裁がいない、もしくは副総裁が職務を遂行できない場合は、理事会が銀行の付属定款で規定されたところの地位、職位の銀行の従業員一人を総裁代理または総裁代行に任命する。
総裁代理または総裁代行は総裁と同一の権限義務を有する。
第二九条
銀行の管理監督及び内部監査に資するために、理事会は五人以下から成る監査役会を設置し、銀行の事業遂行及び総裁の職務遂行を監査させることができる。監査役会はこのとき、理事会の委任したところに従う。
第三〇条
銀行が予算法に基づく国営企業の地位にある間は、理事長、理事、執行役員は大臣が定めたところ
に基づき会議手当もしくはその他の報酬を受け取る。
第三一条
理事もしくは執行役員は第一三条に基づく違反によって銀行が被った損害に対し責に任じる。
ただし その行為が取締役会の決議によらないでなされたと証明できるとき、もしくは取締役会の会議で反対し、議事録に残されているとき、あるいは議事録が認証された日から三日以内に会議の議長に対し反対意見書を提出していたときはその限りではない。
第四章
監督・事業遂行・管理
第三二条
銀行が予算法に基づく国営企業の地位にある間は、大臣が銀行の事業を一般監督する権限義務を有する。
このために大臣は銀行に対し事実関係の説明、意見表示、報告をさせ、政府の政策もしくは内閣決定に反する銀行の行為を中止させる命令権限、及び監督原則の規定権限、政府の政策もしくは内閣決定に基づく執行を銀行に命じる権限、銀行の業務にかかる事実関係の検査を命じる権限を有する。
銀行が予算法に基づく国営企業の地位にない時、財務大臣は銀行の経営安全性の原則を定める権限、銀行の事業、資産及び負債を検査する権限を有する。ここに財務大臣はタイ中央銀行に当該執行の全部または一部を委任する命令を下すことができる。
第三三条
銀行は省令が定めた原則及び方法に基づく資産、負債または拘束義務との比率でファンド金を維持する。
第三四条
銀行が第三二条に基づく大臣の命令に従った業務遂行で、もしくは銀行が政府との間で結んだ合意に従った業務遂行で損害を被った場合、財務省は内閣の承認を得て、かつ次予算年度に当該損害補償請求を提出した時、銀行に対する相当の損害補償を審査する。
第五章
株主総会
第三五条
理事会は以下を審議するため、会計年度期末日から一二〇日以内に年次株主総会を開く。
(一)銀行の年次経営報告
(二)貸借対照表、損益計算書の承認
(三)純利益の配分の承認
(四)その年の会計監査人の任命
(五)理事選出
(六)その他の件
第三六条
理事会は適当な時にいつでも臨時株主総会を召集することができる。
第三七条
年次株主総会及び臨時株主総会は販売済み全株式数の三分の一以上の株式数を有する株主もしくは株主の代理人の出席をもって成立する。
第六章
現金貸出
第三八条
中小企業への現金貸出は銀行の規約に従う。その規約では貸出先の形態、借入の目的、返済期間、借入金の最高額、担保の有無・免除、貸出金利、弁済、もしくは関係するその他の件について定める。
第七章
資金調達
第三九条
銀行の業務のための資金調達において、銀行は以下の権限を有する。
(一)理事会が適当と判断したところに基づき資金を借り入れる
(二)金融証券の発行
(三)銀行の付属定款に基づく他の金融機関への現金手形の販売もしくは割引販売
(四)政府もしくはその他からの助成金受取
第四〇条
銀行が予算法に基づく国営企業である間、銀行は政府に対し国内外の資金源からの借入に保証をつけるよう求めることができるが、銀行が政府に保証を求める借入金額は、政府が保証した借入元本を合計した時に銀行のファンド金の一二倍以下でなければならない。
第一段に基づく借入の合計額を知るために外貨の計算は、契約日にタイ中央銀行の発表に基づく交換率を使ってバーツ換算する。
第八章
利益配分
第四一条
年次純利益は配当、第三一条に基づく年次褒賞、準備金のための支払いに配分した後に積立金勘定に組み込む。
第四二条
配当金支払いごとに銀行は、支払った配当金の半分以上を準備金として純利益から配分する。
第一段に基づく準備金が払込済み株式金額と同じかそれ以上になった時、銀行は準備金としての配分を停止する、あるいはその金額を減らすことができる。
第九章
会計監査と報告
第四三条
理事会は銀行の会計監査を少なくとも年一回実施させる。
第四四条
毎年の会計年度期末日から一五〇日以内に、理事会は会計監査人が保証した貸借対照表と損益
計算書を、銀行の年次事業報告書と共に株主総会に提出する。
第四五条
銀行は株主総会で承認された年次事業報告書、貸借対照表、損益計算書を、毎年の会計年度期末
日から一八〇日以内に内閣と国会に提出する。
第一段に基づく報告には前年度の銀行の業績、今年度の銀行の方針、計画に係る説明も含む。
第一〇章
雑則
第四六条
銀行の準備が整い、万全だと理事会が判断し、株主が承認決議した時、理事会は内閣承認を求めて 大臣にその判断を提出する。このときパブリックカンパニー法における株式の一般公募、株式及び株主、株主総会、会計及び報告、社債の規定を銀行にも準用する。
第一一章
経過規定
第四七条
本法令の施行日に、仏暦二五三四年小規模産業金融公社法令に基く小規模産業金融公社が有していた事業、資産、負債、資本、利益積立金、準備金、権利と義務は、銀行に移管される。
第一段に基づき移管された資本は銀行の株式額面金額とし、小規模産業金融公社の株主は第一段
に基づき移管された株式数に従い銀行の株主となる。このとき小規模産業金融公社の株券は、新たに株券が株主に発行されるまで銀行の株券であるとみなす。
第四八条
当初においては小規模産業金融公社の理事会が理事会としての職務を果たし、本法令の施行日から三〇日以内に理事会を選出するため株主総会を召集する。
理事会が選出された時、第一段に基づく小規模産業金融公社理事会の権限義務は終了する。
第四九条
当初においては小規模産業金融公社総裁を、小規模産業金融公社と結んだ雇用契約に基づく就業、退任、雇用打ち切り、業績評価の条件、及び賃金もしくはその他の利得に係る規定を有する銀行の総裁とし、本法令に基く銀行の総裁への変更は退任とはみなさず、小規模産業金融公社総裁としての勤
務期間は銀行総裁としての勤務期間であるとみなす。
第五〇条
小規模産業金融公社の従業員及び雇員は銀行の従業員または雇員とし、以前に得ていたのと同じ月給、賃金、報酬、福利厚生、その他報酬を得るが、銀行は本法令の施行日から一二〇日以内に当該人物の新たな職位、月給水準、賃金、報酬、福利厚生、その他報酬を規定する。
本法令に基づく銀行の従業員または雇員への変更は退任とはみなさず、小規模産業金融公社の従業員または雇員としての勤務期間は銀行の従業員または雇員としての勤務期間であるとみなす。
第五一条
仏暦二五三〇年厚生年金基金法令に基づき設立登録した小規模産業金融公社の厚生年金は継続 し、本法令に基づき設立された銀行が使用者の地位を有する。
(おわり)
(注:JETROバンコクより引用)