タタイ王国の非公開株式会社の情報開示制度に意味はあるか
北山 弘樹(関西大学)
関西大学商学論集(2014年6月より)
会計法では全体事業に対して一律に会計基準が強制されているが、中小企業が大半の非公開株式会社に対して、上場企業と同一の質と量の会計基準の遵守を期待
するのは実際上不可能である。
非公開株式会社の会計基準に関しては、一部基準の適用が免除され、また中小企業向け会計基準が開発された。
非公開株式会社に適用が免除されていたのは、TASの第24号セグメント別報告、第25号キャッシュフロー計算書、第36号資産の減損、44号連結財務諸表並びに
子会社に対する投資の会計処理、第45号関連会社に対する投資の会計処理、第47号関連当事者に関する開示、第48号金融商品の開示及び表示の7基準であった。
2011年に公式基準の一つとして施行されたTFRS for NPA Es(非上場向け会計基準)は, 一つの体系的な会計基準でありタイの中小企業の適用を前提とした基準で
ある。
TFRS for NPA Esの特徴として
包括利益計算書の作成義務がないこと
キャッシュ・フロー計算書の作成が任意であること
修正再表示等の場合の三会計期間の財政状況計算書の作成義務がないこと
税効果会計の適用が任意であること
最善の見積もりによる従業員給付債務計算が許容されること
子会社・関連会社・ジョイントベンチャーに対する投資に原価法が適用されること
有形固定資産の公正価格による測定が禁止されていること
機能通貨としてタイバーツだけをを使用すること、といった点が挙げられる。
(注:2015,4,8修正)
タイ国の会計基準(TAS)と財務報告基準(TFRS)(編集:元田時男